[REVIEW] ゼロから始める魔法の書 [ZERO KARA HAJIMERU MAHO NO SH]

[REVIEW] ゼロから始める魔法の書 [ZERO KARA HAJIMERU MAHO NO SH]

[Review]ゼロから始める魔法の書: 表紙は、ゼロと傭兵のメインコンビ。

全体を見ればきれいにまとまっていると思うのですが、所々に目を向けるとあらが多い。
まず序盤の、主人公「傭兵」が魔女に追われて逃げている場面からして読んでいていくつも引っかかりをおぼえた。
命を狙われ必死に走っているのに、偶然まきこんだ旅人と立ち止まって話しこんだり、一人でも逃げきれるかわからないのに旅人を「なりゆき」といって抱えて走ったり、かと思いきや「降ろせ」といわれて降ろしたりしている。
作者はraw mangaが重くなりすぎないように、あるいは笑いを誘おうとしたのかもしれないが、自分には一貫性にかけ、緊張感が感じられないものとうつった。

最後までこの調子で進むものだから、大勢の人の死がかたられても上の空である。

解説の(解説ではなく感想になっているが)「佐島勤(魔法科高校の劣等生)」いわく、これは「善性」の物語であるそうだ。

だがそれをやるなら作中で「悪がなければ、善は成らない」というように、その善性をよりきわだたせるための対比として、明確な「悪性」をかくべきだと思う。

しかし人を襲ったり殺めても簡単に許される、もしくは罰を受けない世界観であるためにそれはなされていない。

ゆえにこの作品の姿はぼやけていると思う。
娯楽としては笑いも興奮も得られず、作者の主張をうつすメタファーとしては何も伝わってこない。
ぶっちゃけ、プロローグの時点で一番重要なオチが読める作りになっているので、真相が明かされるシーンを見ても、「意外!」より「やっぱり!」という印象の方が強かったのは良し悪しかと。
着々と悪い未来へとフラグが整っていく様子にハラハラさせられましたし、一人寂しく置き去り状態だったアルバスが、一種の闇堕ちしてしまうのは無理からぬところだとも思えるのですが、1巻で見せた彼女の聡明さや、完成度の高いオチの付け方を知っている読者としては、やや簡単に足元を救われすぎたように思えてしまって残念な気も。
とはいえ、物語的に実はこの騒動の奥にはもう一段仕込みが用意されている!という可能性も大いにありえますし、ピンチからの大逆転でばっちりカタルシスを感じさせてくれそうなのは間違いなさそうで安心。
自分から振っといてアレですが、このあたりはネタバレのタイミングに関する好みの問題でしょうね。

以前登場したキャラクター達が続々と登場したり、物語上重要な「獣落ちが人間になるための具体的な方法」が描かれたりするので、ひょっとしてこのエピソードがラストエピソードなの?と勘ぐってしまったのは自分だけかしらw
魔女と教会、王家と民衆の関係を改めて掘り下げながらのストーリー展開は説得力が高かったですし、旅の仲間となったリーリもしっかりと存在感をアピールしてくれていて良かったと思います。
ネズミ呼びや気配察知といった能力的な部分だけでなく、ラブコメ的にも絡んできてくれそうで今後が楽しみ♪
というか、ところかまわず傭兵ラブ!をアピールするゼロの告白めいたセリフの数々が(・∀・)ニヤニヤでしたし、なんだかんだでほとんど自分の愛情を認めてしまっている傭兵の反応が初々しくて(・∀・)イイネ!!
新キャラの巨乳キャラ・ナナや、実はイケメンだった十三番のイラストも見所でしたが、傭兵の素顔も俄然、気になってきたり。
おそらくは、最後まで名前とともに明かされないままなのだろうとは思いますが、気になるものは気になるw
サナレとの決着が意外と近いかも?と思わせる引きで、次巻はシリーズ的にも大きな節目となりそうな気配で見逃せませんね。
仮にサナレを倒すことが出来たとしても、セストゥムの他のメンバー達の暗躍や写本の回収の旅は続くでしょうが、パーティメンバーに変更が出てくる可能性も微レ存?
アルバスの代わりに結界を維持できる人物が現れれば、その人に託してアルバスも復帰&manga raw要員にムッハーというのもありな気がしますが、そうそう事がすんなり運ぶかどうか、今回やらかしたことに対する責任の取り方も含めて、不確定要素は多いですね。

ここ最近の電撃の大賞受賞作は尖ったところのない、小奇麗にまとまった作品が多い気がしますが、この作品もその枠をでるものではないでしょう。

大賞をかならず出さなければいけないという法律はないのだから、その年のできが悪ければ受賞作なしとはできないものか。

安易に賞を与えるのは作家にも業界にも、不幸せでしかないと思います。

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